【開催報告】「ソーシャルメディアを活用した人材開発と戦略的活用」

2012年10月11日 Posted in コンテンツ&アプリケーションWG

新世代BB研究会 コンテンツ&アプリケーションWG 第3回研究会
「ソーシャルメディアを活用した人材開発と戦略的活用」

IMG_4865.jpg2012年7月30日、新世代ブロードバンド研究会・第3回行事として「ソーシャルメディアを活用した人材開発と戦略的活用」をテーマに講演会を開催しました。

ゲーム・コンテンツ産業は、急速に拡大し発展中であるが、今後の発展のためには、コンテンツ開発に必要な有能な人材と、その戦略的な活用が求められる。人材の育成・開発の組織化、一方で、就労現場に向けた適切な人材流通のチャネル・デマンド作りも急務である。
このコンテンツ&アプリケーションWG第3回研究会では、ゲーム・コンテンツ産業の人材開発とその戦略的活用に焦点を当て、人材ニーズとデマンドの実態と、最近の環境変化。今後解決すべきデマンドの課題。既に事業として運営されている、登録、組織化された人材マネジメントビジネス。ここおける、人材マッチングの可能性など、代表的な各活動を紹介する。
ゲーム・コンテンツ業界に向けた人材デマンドチャネルを整備することで、変化の著しい作品世界において、ゲームの質の向上、円滑でハイレベルなコンテンツ開発。人材の安定的なデマンドと就労環境というインフラを整備することで、業界の発展に寄与するものである。

■講演者
株式会社リクルートHR・斡旋カンパニー HR
 プラットフォーム事業部WEBサービス統括部 加藤茂博氏
株式会社セガネットワークス 執行役員 事業本部長 岩城 農 氏
株式会社リンクトブレイン代表取締役 CEO 藤田 稔 氏
■パネルディスカッション
登壇各位
国際ゲーム開発者協会(IGDA)日本 代表 小野 憲史 氏

■講演「ゲーム・コンテンツ産業の人材特性と環境変化」
株式会社リクルートHR 斡旋カンパニー HRプラットフォーム事業部WEBサービス統括部 加藤茂博氏

IMG_4838.jpg人材デリバリの現状について報告する。特に、人材要求は多いが、就労環境が整っていない状態である点を伝える。
リクルートの人材デリバリ事業の立場で、日本の産業全体を俯瞰すると、リーマンショック後のわが国では、サービス業のみ雇用増。さらに圧倒的に求人数を伸ばしてるのが、ネット関連の業界である。背景は、スマートフォンの急速な普及にあり、これに伴って、モバイル向けネットサービスやゲーム業界となる。今現在、SIエンジニアが転職するとしたら、この業界がもっとも有望な業界である。
しかし、転職希望者の見解を集めると、ゲーム業界への転職は、50%程度の確率で否定・拒否される。
その要因は、企業側の就労者への扱いが不安定という点である。コンテンツの開発スケジュールがタイトな上、安定的就労は保障されない。企業の多くがベンチャーとして、急速に事業拡大したことから、就労規定が履行されていないのが実情である。

ネットサービスの企業、ゲーム・コンテンツの業界は、人材デリバリ先として、リクルートが経験した過去の事例が通じない。特殊な業界となっている。
しかし、一方で、業界内では自主的、自然発生的に人材同士が移動する仕組みが出来てきていいるのも事実である。ソーシャルランチを通じ、エージェントを介さず同業他社へ転職する事例も増えている。ネットサービスの業界、ゲーム、コンテンツ業界全体にわたって、今後整備する余地を多く含む業界であるが、活発な業界であるの事実である。人材デリバリの手法においても新しい手法、新しい構造が現出しつつあるといえる。

■講演「ソーシャルゲーム製作における人材活用の課題」
株式会社セガネットワークス 執行役員 事業本部長 岩城 農 氏

IMG_4843.jpgスマートデバイス向け専門の、ゲーム・コンテンツ事業会社の立場から、エンジニア採用の実際を解説する。
社員数は、セガ全体では2,300名を数えるが、セガネットワークスはそのうち230名の企業。このうち、現在集中して人材を集めているのが事業本部要員。230名中、事業本部要員は100名である。事業本部の構成は、事業開発部、NW-R&D、編成局の3区分であるが、いずれもゲーム・コンテンツなどの作業レイヤに対し、事業全体の開発・サポート、サーバ開発、ラインナップ編成・運営プロデュースといった、上位の立ち位置で、事業全体を統括し推進して行く部門である。
この部門の機能強化を重視しており、人材を募集強化しているところである。
対象となる人材「どのような人材を採っているのか」については、すべて専門職としての経験者・転職者、"手に職のある"人材である。対象の業務は、事業企画経験者、リサーチ職、技術ではサーバ開発者などである。採用人員を構成比でみると、全体的に技術者ではなく文系の人材であるが、中でもリサーチ専門、統計作業の経験者など異業種であり文系の人員が63%を占める。PCオンラインや、ソーシャル系出身者は37%という構成である。
ゲーム・コンテンツはヒット作1タイトルがあっても、1年で消滅する世界である。そのため、企業のトップが全てを決める体制では、変化の速度に対応できない業務である。対応するためには、周辺の状況に対し、敏感に対応できる体質が必要である。そのためには、マスコラボレーション型の組織、専門性と能動性に富んだ組織作りが重要である。

◆組織に求められる要件
×トップダウン型のリーダシップに依存した組織
○マスコラボレーション型の組織
 ・求められるトップダウン:組織の自由度を制約しない優れた戦略
 ・ボトムアップ:専門性と能動性

ゲーム・コンテンツ業界に求められる組織とは、市場の変化の激化に合わせられる組織である。個人レベルでは、専門性と視野を広げ、多様性を受け入れることが出来ること。組織レベルでは、制約の少ない戦略を描き、社内外も含め、必要な組織をコンダクト出来ること。多様な専門家が能動性を持って動いた結果が、組織パフォーマンスの最大化につながり効果を生むもものである。

■講演「ソーシャル・データベースマッチングによる人材開発の可能性 」
株式会社リンクトブレイン 代表取締役CEO 藤田 稔氏

IMG_4851.jpg2011年10月設立の人材マッチング事業者の立場から、人材デリバリの現状について解説する。要点は(1)日本のコンテンツ産業におけるワークスタイルの変化。(2)フリーエージェント化社会の到来。(3)ソーシャルメディアの普及による仕事の仕方の変化。(4)ソーシャルメディアを活用した求職、HRMの状況。この4点である。
日本国内の就労状況は、全体的に就労人口が減少している中、就業先も減少。こうした中、2008年のリーマンショック時には、失業人口が急増した。この数年変動の激しい状況にあったが、一方でこうした変動とは別にフリーランスの人口は微増を続けている。この増加傾向は、こうした流れとは別に、社会全体の変動を若干受けてはいるものの、確実に増えている状況にある。特に、フリーランスの就業先として近年増加しているのがIT関連とエンタメ分野である。
このような状況下、ゲーム・エンタメ業界におけるフリーランスの可能性は大きい。国の統計ではゲーム業界は属する区分:生活娯楽産業における就業者数は220万人。このうちフリーランスは57万人。
さらにゲーム業界の就業者数は推定30万人でこのうちフリーランスが2.5~4万人程度である。ゲーム業界の平均在職期間は5年といわれている。ソーシャル業界、ゲーム業界はゲーム作品に限らず、商品寿命は1年程度と短く、企業側は必要な時に必要な人材を求める傾向にある。この状況の、フリーランスの技術者は、技能の高さ、独特のセンスなど特筆される能力がある場合、個人が"一つの企業"といえる存在と位置づけることもできる。また、この業界の企業の在りかとしては、人の交流、情報流通のコモディティ化が進む中で、企業個々が秘密を保持する必要性は低く、却って企業の展開スピードを阻害するものである。"秘密より業界内で情報を通過"させることが現状に合った自然な体質といえる。米国の場合は、既に2,200万人がSNSを使って就職している状況である。今後の人材デリバリには、ソーシャルネットワークによる交流という機能が有効に機能することになる。
リンクドブレインでは今後の就労手段として、個人の実績を登録。ソーシャルネットワーク上で、人材同士が交流する場を提供する。これによって、求める側、フリーランス側、あるいはプロジェクト参加のメンバ間で人材デリバリが進む環境が創出される。

■パネルディスカッション「ソーシャルメディアはワークスタイルの変化をもたらすか?」

IMG_4854.jpgIMG_4862.jpg登壇各位に加え、パネリストに国際ゲーム開発者協会(IGDA)日本 代表 小野 憲史 氏が登壇し、就労環境の変化、企業の変化、働く人の変化、この3点に対しディスカッションを展開した。最後に、ゲーム・コンテンツ業界に行ける経営者と、就労側の人材に対しメッセージを求めた。