【開催報告】CEDEC 2012 Co-Located Event

2012年10月11日 Posted in 通信プラットフォームWG

CEDEC2012 Co-Located Event BBAワイヤレス・ブロードバンド・フォーラム 開催報告

DSCF5074.jpgゲーム業界のカンファレンス「CEDEC2012」(主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)併催Co-Located Eventとして「BBAワイヤレス・ブロードバンド・フォーラム」を開催しました。

スマートフォン・スマートデバイスの爆発的な普及とLTE,4G、次世代WiFiなどワイヤレス・ブロードバンドの一層の高速化は、今後のゲーム・コンテンツ流通の分野にも大きな影響を与えると思われます。また、センサネットワークやARなどのテクノロジはクラウドと融合しIOT(Internet of Things)やM2Mのような産業分野での活用が進む一方、リアルとバーチャルの垣根を越えた技術基盤としてゲーム・コンテンツの分野にも大きな影響を及ぼすと考えられます。今回のフォーラムでは、情報通信業界からゲーム産業への情報提供と課題の共有の機会として、BBAからネットワークとプラットフォーム技術に関する5セッションの構成で、通信・技術プラットフォーム動向をゲーム産業の参加者に向け解説しました。

■講演「スマートデバイスと次世代通信基盤 ワイヤレス・ブロードバンドの進化と次世代技術」
一般社団法人ブロードバンド推進協議会 新世代ブロードバンド研究会 プラットフォームWGリーダー
武蔵野学院大学 国際コミュニケーション学部 准教授 木暮 祐一 氏

DSCF5031.jpgDSCF5036.jpgケータイ電話は25年の歴史で、通信の歴史の中では最近の事柄である。通信インフラは常に発展拡充してきたが、概ね10年ごとに新世代に代替している。1987年からは始まり、現在の3Gは2001年の開始。2012年現在3.9GといわれるLTE方式の登場を見ている。NTTドコモが進めるLTEでるが、KDDI、ソフトバンクモバイルも準備を進めている段階である。次世代4Gは2015年と予測される。日本のケータイ電話への加入件数は2011年12月に1億3,000万件を突破した。件数以上に特長的なのは、インターネットにつながる高機能機の普及においては海外先進国で60%程度なのに対し、ほぼ100%がインターネット繋がる高機能機である。これは、情報環境において日本の優位点と評価できる。この高機能のケータイ電話は、2010年来スマートフォンに置き換わっているもので、ケータイからスマホへの代替は同時に、コンテンツサービスも伸長につながっている。コンテンツの中でもゲームは有力なコンテンツであるが、タイトル数でゲーム専用機とスマートフォンを比較すると、任天堂DS5,470タイトル、SCE PSP3,841タイトル。これに対し、iPhoone Appsのみでも既に桁違いの148,5000タイトルを数えるに至っている。スマートフォンの普及によって、コンテンツはDL販売が主流。コンテンツのリッチ化。データの取得・保存・対戦も容易になった。さらに向上促進する方向にあるがその方向は、スマートフォンを中心にして、これを介して周辺機器に連動させる利用形態は増えるものと想定される。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)はその代表的なデバイスである。AR技術、ARの表現とアプリケーション開発によってHMDが情報機器として定着する可能性がある。その他開発中の機器も含めスマートフォンを情報のターミナルとする、利用環境に移行してくるものといえる。講演では、開発中の機器である脳波検知の「necomimi」、「Siri」、「音声感情認識」などを紹介した。

■講演「次世代WiFi/WiGigが変えるコンテンツ流通」
株式会社 日本・社会システムラボラトリー(NSlabo) 代表取締役社長 足立 吉弘 氏

DSCF5041.jpgDSCF5040.jpgWiGigは、2013年後半ないし2014年にはスマートフォンに実装される技術である。規格上はWiFiに中に包括される技術で、新WiFiとしてTVその他のデジタル家電、情報機器全般に実装される可能性も示されている。ミリ波による端末から端末、個人から個人への極めて近傍な通信手段として、現在チップレベルで開発が進められているものである。開発の中心メンバは半導体メーカー、電気各社の電子デバイス部門であるため、ハードウェアへの展開や、具体的な用途展開、用途開発は今後行われるものである。開発メンバーにはインテルを筆頭にパナソニック、東芝、AMD、マイクロソフトなどが名を連ねており、近く国際的なコンソーシアムも組織され、電気・通信その他業界で知られることになるとみられる。60GHz帯のミリ波、超1Gbpsの無線伝送。大容量のリッチコンテンツの伝送も可能なことから、デバイス開発メンバーのレベルでは、映画コンテンツの配信や、企業内でのP2Pのファイル転送などが想定されている。特にスマートフォンへの実装が前提であることから、3G回線におけるリッチコンテンツサービスにおいて、P2Pの近傍通信が、3Gのトラフィックの増大を避けるオフロードとして注目されるという想定が示されている。しかし、この点は実際には、リッチコンテンツの伝送を3GでしかもDLで行うようなサービスは存在せず、この先もあり得ない。この想定は机上の空論である。しかし、P2Pは時代の趨勢であり、また、社会は個人個々の価値観や、ソーシャルの友達のみで共有できるようなコンテンツで事業を訴求する方向にある。オウンドメディアの訴求という考え方、スマートフォンが個人個々の嗜好によってカスタマイズされる方向になる中、WiGigは、極めて有効な通信手段となる可能性が見いだせる。WiGigの開発の状況解説に加え、開発側の想定とは別に、WiGigの有効性を認めた業界を紹介し、そうてとは別に、現実的な親和性と可能性について解説した。特に、2000年代前半に語られたコンテンツの"超流通"を、より現実に可能とすること。決済機能などとの組み合わせで、オフロードでありながら、P2Pの新しいコンテンツ流通のインフラが創造される点について言及した。

■講演「モバイルAR、P2Pテクノロジーの今後とクアルコムの取り組み」
「近傍P2Pテクノロジーとクアルコムの取り組み」

クアルコムジャパン株式会社 ビジネス開発 渡辺潤氏 臼田昌史氏

DSCF5048.jpgDSCF5054.jpgARテクノロジ「vuforia」の紹介と、ARを使ったビジネスの可能性について解説する。
ARは、現実空間において仮想コンテンツを使って何らかのサービスにおいて効果上げる技術である。Vuforiaは、モバイルデバイスのVision-beaesedのARテクノロジ。ARは4つの機能が連携して、表現される技術で、Vuforiaは、この4つの工程を一つにまとめたテクノロジである。機能の流れは、スマートフォンのカメラの画像を認識、端末内のAR辞書 物体の位置検出、把握 CGコンテンツをレンダリングし表現するものである。

①SCANS  ⇒ ②COMPARES  ⇒ ③POSITIONS  ⇒ ④REDERS

Vuforiaは2010年10月に投入、デベロッパは30,000。国内はこのうち10%程度に増加している。

Vuforia主なユースケース紹介

◆Gaming and Play
雑誌、印刷物に連動したAR:玩具広告上でARでゲームが出来るなど、商品パッケージ、紙面をマーかとして使用して付加価値を追加
◆Instructional &Educational
家電製品のユーザーマニュアル,教科書:家電などのユーザマニュアル、インタラクティブな教育・教養表現
◆InteractiveMedia
店舗の商品、陳列棚にAR:商品購入時、あるいは購入前に口コミ情報などを商品の前で表示マーケティング的な接点を創出

2012年秋には、Vuforia2.0がリリースされる。クラウドサービスが開始され、クラウド側に画像認識技術は用意される。100万種程度の画像認識に対応可能な状況となる。流通現場から、雑誌広告、教科書のような公的な媒体まで、ARの利用場面は極めて広く、スマートデバイスをツールとした、新しい表現手段・訴求手法が一般化する方向にある。

「近傍P2Pテクノロジーとクアルコムの取り組み」

ネットワークを介さずに近傍Peer-to-Peerを実現するテクノロジを紹介する。
テクノロジ名AIIJoin
近傍とは100m以内を想定し、デバイス同志がサーバを介さず通信するサービス環境で、クアルコムでは
スマートデバイスのほか、TVその他家電にもWiFi搭載の方向で進展している。
主なユースケースとしては、対戦型ゲーム、ソーシャル、マルチスクリーンの3つである。
◆対戦型ゲーム:デバイスvs.デバイスでゲーム
◆ソーシャル:アイテム交換、チャット、ソーシャルでメディアシェアなど
◆マルチスクリーン:TV・スマホ・タブレットの連携・連動

Vuforiaとともに注力中のテクノロジであり、デベロッパその他多くの賛同・参画を期待する。

■講演「センサーネットワーク、ビッグデータが変えるゲームの形 eスポーツグラウンドの試み」
「スポーツ化するゲーム」と「ゲーム化するスポーツ」

エウレカコンピューター株式会社 ディレクター/eスポーツプロデューサー 犬飼博士氏
株式会社スポーツ21エンタープライズ 代表取締役
法政大学スポーツ健康学部教授
WSFジャパン(女性スポーツ財団)日本支部代表 三ツ谷洋子氏

DSCF5060.jpgDSCF5058.jpg

<コンピュータゲームの視点からスポーツへの発展を見る>

eスポーツは、コンピュータゲームの延長で、ゲームをスポーツ競技の一つと捉える考え方である。eスポーツを、水泳、陸上競技など従来スポーツの範疇で現状と今後の発展の可能性について解説する。
過去、スポーツ競技の発展を振り返ると、原始から現代まで、産業の変化を反映して競技かられてきたといえる。原始的狩猟・採集社会と格闘競技。農耕社会とサッカーなど集団競技。さらに近代の産業革命以来の工業社会はモータスポーツを創出した20世紀後半は情報化社会と定義でき、情報化社会が創出するスポーツがeスポーツという仮定が成り立つ。コンピュータゲームあるいはコンピュータを介在させた競技が、情報化社会において創出されるスポーツと想定出来る。コンピュータゲームが、スポーツの歴史の中に、溶け込んで行くというイメージである。実体の競技者によるスポーツもあるが、eスポーツでは、バーチャルなアバターが競技者となる場合もあり得る。現状では初歩的な事例として、スポーツクラブに導入されたスポーツグラウンドがある。既に、システムが販売されており、本年度中に100システムの導入を目指して事業化されている。これは、プロジェクタから床に投影される画像をもって参加者が身体を使ってゲームを楽しむもので、体力づくりと対戦ゲームを合わせたものである。その他、開発中の事例を紹介した。

<スポーツの視点からITを意識せざるを得なくなった状況を解説>

スポーツ人口が減少しているが一部では、コンピュータゲームが影響しているという見解がある。かつてスポーツ産業の中心には本格的な競技者育成があり、その周辺に競技志向のスポーツ人口が形成されるものとされていた。しかし、現在のスポーツのテーマは、競技志向は希薄となり「遊び」と「健康」に移行してきている。競技としての楽しさではなく、「遊びとしての楽しさ」といえる。この状況下で、ゲームとスポーツを比べると、ゲームはバーチャルな楽しさ、スポーツはリアルな楽しさであり、相反するもののよう見受けられる。しかし、一方で任天堂Wiiに見られるように、家庭内でスポーツを疑似体験できるゲームがヒットした経緯がある。子供から大人まで楽しめるバーチャルスポーツであり、しかも家庭内で楽しめるスポーツの登場である。アンケート調査の結果を提示。結果ではゲーム愛好はスポーツも継続している。ゲーム好きはスポーツ好きなど、既に現代人においては、コンピュータゲームもスポーツも楽しんでいる。どちらも楽しければ良いという状況と見られる。競技者を中核とする本格志向のスポーツ文化ではなく、"カジュアルスポーツ"であるが、ここにコンピュータゲームのテクノロジを取り入れたeスポーツの可能性を見いだすことが出来る。現在は、この「カジュアルスポーツ」が市場を形成する段階にある。事情確立のために、以下の5つのテーマを示す

1.「カジュアルスポーツ」領域の研究深化
2.プロモーション活動の実施
3.産官学による商品開発
4.ゲーム業界との具体的アクションプラン検討
5.「カジュアルスポーツ」の人材育成

その他、過去、ITとスポーツは乖離したものであったが、現在は連携が始まり進行していること。IT利用の将来像の例として、2016年サッカーWカップ日本招致のビデオ作品。ラコステ制作の75周年記念75年後のスポーツのイメージ作品を紹介。さらに将来のeスポーツサッカーグラウンドに対するビッグデータの関わりと可能性など、スポーツへITが導入され進化して行く方向をイメージ解説として加えた。

■講演「AR(拡張現実)がもたらす新たな世界観の創出」
レイ・フロンティア株式会社 代表取締役 CEO & COO 田村建士氏

DSCF5070.jpgDSCF5068.jpgAR(拡張現実)は、本やPCに貼り付ける付箋のようにモノや空間に情報を"ペタッ"と貼り付け情報に価値を与える技術である。AR技術の価値とは何か。これは、コンピュータやテクノロジの力で人間に認識を拡張するものでる。遠くのものを近くに見せる。見えないものを見えるようにするなど、主体となる媒体に対し、画像・映像の表現でイメージを増幅させる効果をもたらす。

◆AR技術の価値とは
遠くのものを近くに見せる!
見えないものを見えるようにする!
視覚だけでなく五感すべてを拡張する!
複雑な情報を直感的に!

ARの研究は、1960年代前半からあり、50年近い歴史がある。これが、実用レベルで一般に知られるようになったのは2007年の初音ミクの登場からで、以降2008年に"電脳フィギュア"。2009年の‟セカイカメラ"の登場、Android向けのARトラベルガイドのリリース。スマーフォンの爆発的な市場拡大を反映して、ARの実質的な用途も顕在となってきた。一方で、プラットフォーム型のARアプリとテクノロジが商品化されており、基盤テクノロジでは、クアルコムのvuforiaをはじめ、既に18種程度。ARアプリでは、17種ほどがある。欧米では、ARの導入は進んでおり、次のような活用事例がある。観光:テーマパークアプリ、空港イベントのAR。店舗販促:カタログ画像認識、キャラクタ認識。ファッション:店舗内POP認識、腕時計のフィッティング。書籍:雑誌AR連動、雑誌にかざして付加情報。教育:NASAアプリ、金環日蝕アプリ、本から遺跡体験。EC:商品棚から情報表示、商品パッケージからAmazonへなどがある。ARは、普及・導入が進めば表現手法として広く定着するものである。その環境の中で、より訴求効果のあるアイディアと企画力が問われることになる。現状は、特に国内の場合、AR導入の初期段階である。まずは、導入側の理解が進み、DLされる環境作りが望まれる状況である。